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引き算の思想から生まれるチョコレート

THE OYATSU Vol.5|引き算の思想から生まれるチョコレート

GUEST|Minimal / 山下貴嗣(やました・たかつぐ)
慶応義塾大学卒業。卒業後、経営コンサルティングファームに就職。数多くのコンサルティング業務に従事し、東証一部上場や事業部経営ボードを経験。 コンサル経験を通して、日本的モノつくりによるブランド立ち上げの可能性を感じ、ブランドスタートアップとして独立。チョコレートを豆から製造する Bean to Barブランドを日本発で創っていくことで世の中に新しい価値を提供できる可能性を見出す。良質なカカオを求め、自ら赤道直下のカカオ生産国を訪れる。自分の目で見て、肌で感じたカカオ豆の可能性を信じ、チョコレートで新たなカルチャーを創るべく奔走中。



カカオが持つカラフルな味の違いを引き出す

大谷:それではまず、Minimalの紹介も兼ねて自己紹介をお願いします。

山下:みなさん、こんばんは。山下と申します。MinimalというBean to Barというジャンルのチョコレート専門店をやっております。ちなみに、Minimalのチョコレートを食べたことある方……? 4割くらいですね。ありがとうございます。

Bean to Barというのは、なかなか定義は難しいのですが、チョコレートの製造の新しいスタイルだと思っていただければよいと思います。一般的にみなさんの手に渡るようなチョコレートを作るショコラティエでは、チョコレートを「生地」の状態で仕入れるのですが、Bean to Barでは、カカオの豆から自分たちで買い付けに行っています。赤道直下でカカオはできるのですが、自分たちの足で赴いて、危ない目にも合いながら(笑)買ってきています。渋谷の富ヶ谷に工房があるのですが、そこで自家焙煎して、完成品の板チョコ(=Bar)まで作って販売しています。

大谷:ありがとうございます。そして、ゲストをコーディネートしてくれているサーモン&トラウトの森枝くんにも登壇してもらっています。山下さん、お店を始めて1年半くらいですか?

山下:2014年の12月1日にお店を開いたので、ちょうど1年と半年くらいです。

大谷:Beab to Barというと、言葉としても、お店としてもたくさん出てきていますが、Minimalらしさというのは、簡単に説明すると、どのようになりますか?

山下:僕らは、チョコレートの専門家が立ち上げたようなお店ではなくて、素人集団が立ち上げているので、オーセンティックなチョコレートのなかで良いとされることとは違うことをやっています。例えば、ザクザクしてます。材料の質感が残っているんですね。普通では良いとされていないところを、豆の粒子をあえて荒く残して、粒子のなかに残る香りを生かしています。

一番伝えたいメッセージとしては、チョコレートの素材であるカカオは、表情豊かで味にカラフルな違いが出るということです。僕らが、業界に入りチョコレートを食べて感動したことを、当時と同じ感覚で等身大に伝えたいと思っています。なので、チョコレートを作る際には、カカオの味を引き出すということにこだわっていて、いろんな表現方法をやっています。使っている素材は、カカオと砂糖だけ。通常は、カカオバターや、ミルク、香料などが使われているのですが、一切、使っていない。でも、味が多様に変わっていくということを表現しています。

大谷:ここで、チョコレートを配るんですよね?このあと2種類のフレーバーの話をします。食べながら聞いてもらえればと思います。

山下:2種類あります。今日、用意したのは、どちらもカカオ70%・砂糖30%です。砂糖は、テンサイ由来のグラニュー糖で、北海道産です。



大谷:チョコレートを配っている間に、カカオのフレーバーのお話をお聞きします。カカオは、土壌など環境によって味が変わるらしいのですが、Minimalで提供するチョコレートの味を決めるときは、どのようにしているのですか?

山下:独自にフレーバーホイールというものを定めています。12種類の味の方向性があります。さらに、大きく「Natty」「Fruity」「Savory」という3系統で味を分けています。「Natty」は、ナッツ感やコクがあってチョコレートらしいライン。「Fruity」は、果実や酸味があるライン。「Savory」は、香り高いという意味で、香りに特徴があるラインです。

袋に「H(=ハイチ)」と書かれたものは、「Natty」に属しています。「V(=ヴェトナム)」と書かれたものは、「Fruity」です。産地が違うことで、どう味に変化が出るか、ぜひ食べ較べてみてください。

大谷:味の方向性は、どの段階で気づいたんですか?

山下:フレーバーホイールができたのは、去年の11月くらい。始めてから1年間くらい経ってからですね。ただ、まだ品種がたくさんあって変わるかもしれません。フランスの研究所は、あと15年くらいで全部の品種を網羅できると言っていて。

大谷:そんなにあるんですね。味のバリエーションってコーヒーと似てるところがあると思うのですが、実際に食べた印象としては、コーヒーよりは、味の違いがわかりやすいと思いました。

山下:ワインとかコーヒーとか作り手のこだわりがあるものが、僕は大好きなのですが……チョコレートは、加工の工程が長いということもあると思います。あとは、完成品が環境からの変化を受ける度合いが少ないので、食べる人に共通の感覚を与えられるのだと思います。

みなさんどうですか?味違いました?

(観客:うなずく)

山下:ああ、よかったです。



香り豊かな「カカオニブ」は、スパイスになる

大谷:それでは、山下さんに作っていただいたOYATSUの説明にいきましょうか。

山下:そのままなのですが、チョコレートを使ってアイスクリームを作りました。2つ特徴があります。まず、普通のアイスクリームと違うのは、生クリームや卵を使っていません。カカオの味をどう表現するかということを大事にしているので、味の強い生クリームや卵を使ってカカオの味が消えてしまうのがイヤだなと。代わりにハチミツを使いながら、なるべくカカオの香りが前に出るようにしています。今回は、コロンビアの豆を使っているのですが、酸味や果実味、シナモンのようなスパイス感を感じられると思います。

もうひとつは、カカオニブというカカオの豆を砕いたものを、添えています。2種類用意していて、先ほどみなさんに食べていただいたハイチ産のカカオと、ヴェトナム産です。ですので、アイスクリームを食べた後、カカオニブをかけてどう味に変化が生まれるかを楽しんでいただければと思います。ちなみに、アイスクリームとカカオニブを混ぜると、チョコレートになるんです。つまり、みなさんの口の中でチョコレートを作ることになります。ぜひ、実験してみてください。こんなかんじで作らせていただきました。



大谷:カカオニブを使うという発想はどこから?

山下:カカオニブってめちゃくちゃ面白い食材だと思っています。スーパーフードと言われていて、ミネラルやポリフェノールが摂れるという話もあるのですが。カカオニブの状態で、香りをもう持っているんですね。これは、もうスパイスだなと。このスパイスを使ってどう料理を味付けしていくかみたいな発想があって、以前、T.Y. Harbor Breweryというビールのお店で、カカオニブを煮出してビールを作ったんです。そうすると、すごく香りが付くんですよ。香り付けもそうだし、食感も面白いと思って、食材としてのポテンシャルが一番あるんじゃないかなと思っています。

大谷:森枝くん料理人からの視点としては?

森枝:使ってみたいですね。たくさん味があるので、どう使うかシェフ側が開拓する必要がありそうですね。うちのお店がある代沢の近くにスパイス屋さんがあるのですが、シナモンひとつとっても、種類がたくさんあるんです。そうなってくると、使い方が変わってきますよね。

山下:共同で考えてみるといいですよね。



日本的な感性でチョコレートを再構築する

大谷:今回のテーマとなっている「Mnimalの引き算の思想」について話していきます。これは、食に対する日本的な思想がどう生かされているかという話になります。日本の食においては、味を足して料理の完成度を高めていくというアプローチ方法ではなくて、素材が持つ味を”引き出す”というアプローチでおいしさを作っていくんですね。Minimalは、この引き算でチョコレートを作られていると伺ったのですが、チョコレートを日本的に解釈するとはどういうことなのでしょうか?

山下:素人で始めているので、僕ららしいチョコレートはなんだろうと考えたときに、チョコレートの最小限は何かというとカカオだと。だから、カカオの良さをどれだけ引き出すかがひとつの目標となっています。それが、引き算と繋がってくるんですね。店名のMinimalも最小限という意味があります。僕は、足し算で作られたチョコレートはすごく好きで、技術もすばらしいと思います。ただ、僕らは、そこを目指すのではなく、どう素材の良さを引き出していくかということにこだわりたいと思っています。

産地へ行くと、よく分かるのですが、そこではカカオをベースとして捉えていて、そこにミルクなどを加えて味を整えていくという考え方なんです。さらに、今は大量生産する方法で作られてることが多いので、カカオが持つポテンシャルをまだまだ出し切れていません。なので、僕ら日本人の素人が日本的な完成でチョコレートを捉え直してみたら、どんな味になるんだろうと。



大谷:足し算でチョコレートを作るっていのは具体的にどういうことなんですか?

山下:クーベルチュールという言葉を聞いたことがある人もいるかと思うのですが、ある程度、ベースのチョコレートの生地があって、それをボンボンショコラで加工したり、オレンジピールを混ぜてみたり、いろんなことを混ぜていくことですね。

大谷:なるほど。では、引き算の思想を作る過程でどのように落とし込んでいるのかというお話にいきます。素材と製法というふたつのアプローチ方法があるとのことですが。

山下:とてもシンプルな話で、引き算をしていくと、素材であるカカオと、それをどういうふうにチョコレートにするかという製法しか残らないんですね。なので、そのふたつを突き詰めていこうと。

まず素材です。カカオには白いパルプという果肉があるのですが、そのなかに入っているのが種ですね。それを現地で発酵させるんですよ。意外と知られていないのですが、チョコレートは発酵食品で。ラグビーボールぐらいの大きさのカカオポットを開けると、白いパルプとカカオの豆が入っています。それにバナナ皮を巻くと、酵母がいて、発酵をしてくれるんです。実は、この発酵って僕らとしてはやれることが多いと思っています。

以前、農家さんにお願いして、5つの発酵方法で実験してみたんです。そうしたら、全部味が変わったんです。その味がいいかどうかは別なのですが、発酵次第でカカオの味が変わるというポテンシャルを垣間見ました。それに、日本って発酵大国じゃないですか。僕たちが試行錯誤することで、いろんな可能性が見えて来るんですよね。

大谷:発酵というプロセスは、以前からあったにもかかわらず、誰も注目しなかった理由は?

山下:厳密に言うと、何もされていなかったというとそうではなくて、今は注目する人たちが出てきているタイミングなのですが。先ほど言ったようにチョコレートはあくまでベースとして捉えられているんです。そういうものを作るとき、発酵させることによって渋みを減らしています。効率的にある程度の単一の味に作るという発酵の研究はすごくされているんです。ただ、質を求められるようなこと、こういう味を作ろうということだったり、麹菌を入れるとか、というアプローチは、まだまだないんです。

ただ、最近はすこしずつ変わっていて現地に行くとめちゃくちゃ詳しい人もいます。カカオのファーメンテーションのPh.D(博士号)を持っている人は、世界に3人しかいないのですが、僕その一人と仲がいいんです(笑) 彼女からいろんなことを教えてもらったりして。

大谷:Bean to Barという動きが起きて、そういった製造のプロセスの見直しをすることになった流れですか?

山下:おっしゃる通りです。

森枝:ワインとかも同じですよね。

山下:そうですね。ワインとかコーヒーとか先人たちが文化として築きあげてきたことにヒントがあります。僕らのオリジナルの発想ですと言うつもりはなくて、オープンに情報交換できればいいと思っています。実は、東京農大の応用学部醸造学科の先生に発酵を習っているんですよ。そこで、先生が卒論の学生つけますと言ってくれて、無理やり研究とこじつけて迷惑かけながらやってます(笑)



大谷:次に製法のことについてお話いただければと思います。

山下:細かい話なのですが、チョコレートを作る機械ってものすごく高くて。オーブンだって300万とかして、高級外車1台買えるんです。そうなってくると、料理人の方たちって機材に製法を合わせているんですよ。素人の僕からすると、それはすごく不自由だし、僕らとやりたいことと真逆のアプローチな気がしていて。本当は、素材に製造方法を合わせるべきだと僕は思います。うちは型破りな方法を取っているので、実は、チョコレートを作る機械をほとんど使っていません。ちゃんとした機械を買おうとすると、大きいものになって、僕らみたいな立ち上げたばかりのお店は小回りが利かなくなるんです。そこは頭を使って、それぞれの工程に使える機械を当てはめていきました。

例えば、ローストの段階で、僕らはオーブンを作っているんですね。普通であれば、コーヒーロースターを使っていたりするのですが。オーブンだと細かい時間の設定ができて、なるべく香りが飛んでいかないよう、時間を変えながらローストすることができるようになります。発酵の仕方によって香りの成分が変わってきて、熱を加えたときの反応が変わってくるから、調整が必要になってくるんですね。たしかに、コーヒーロースターでも職人の勘を使って作ることはできますが、再現性が低い。厳密にカカオに合った作り方を設定するためには、オーブンが適しているんです。

そんなふうに、僕らは製造方法をリエンジニアリングしたいんです。カカオを生かすための最適解を僕らは見つけていきたい。



スペシャリストが集まったチームでチョコレートを届ける

大谷:今まで、Minimalの説明と引き算の思想をお伺いしたのですが、それをビジネスとしてきちんと伝えていかないといけない。その点、Minimalは、ビジネスとしてもうまくやっていると思ったので、そういう要素を聞いていけたらと思います。山下さんは、もともとコンサルの経験があって、それも大きく影響していると思うのですが、Minimalを始める時点ではビジネスについてはどういう考えだったのでしょうか?

山下:やりたかったことはもともと明確で、日本的なもの作りで世界に向けて発信できるものを作りたいと思っていました。真面目な話をすると、これから日本って何が資源になるかと言うと、よくある話ですが、人だと思います。さらに人って何かと言うと、きめの細やかさだと思っていて。それが、サービスになるとホスピタリティということだと思うし、技術になれば伝統工芸と呼ばれるものになると思います。今だと、UIやUXといった分野で世の中を変えていくのではないでしょうか。

チョコレートの話に戻ると、そういったきめの細やかさで変えていくものとして、世界で大きな需要があるものだと面白いと思ったんです。チョコレート関連の売り上げで年間どれくらいあるかわかる方いらっしゃいますか?前職のコンサルの市場だと1000億と言われていたのですが、それよりも上か下かどちらか分かりますか?そうなんです、上です。4860億あるんです。この1年間で700億伸びたんです。世界規模に広げると、軽く推定しただけなのですが、10兆はあるんですよ。巨大な市場があるわけです。

それに、消費の規模も大きい分、作り手もたくさんいるわけで、僕らが素材を作って、ショコラティエの人たちと一緒にクリエーションをすることもできるんですよね。そんなふうに、文化になり得るような規模のものを僕ら日本人がやるということに意味があるものをやりたいとずっと思っていたんです。

大谷:個人店のレベルで食を高いレベルにしていくと提供できる範囲に限りがあるなと思っていて。これは料理店独特の点だと思うのですが、いわゆる生ものを 届けることに制限があるのは独特だなと。そのときにMinimalは、広げる方法として流通に乗せることをやっていたりします。個人店をやっている森枝くんとしては、自分の作っているものを広げたいと思ったときの課題意識みたいなものはありますか?

森枝:最近は、自分の手から離してチェーン展開をするなどは、かっこいいとは思われていないけど、僕はいいなと思いますね。



大谷:そこで解決策を模索しようとしたときに、別の業界から入ってきた山下さんみたいな人がいると、なにか思いつくんじゃないかなと楽しみにしています(笑)

山下:僕が思っていることは、チームでやることが、ひとつの可能性だと思っています。ひとりでやるのってすごく難しいと思います。森枝くんは、シェフとビジネスの両方を兼ね備えたすごく人だなと思うのですが、ひとりの時間は、1日24時間で限界がありますよね。僕は、それをチームで乗り越えたいと思っていて。Minimalのなかで、僕にしかできない役割はきっとありますし、他のメンバーにしかできないこともありますし、1+1を3以上にしていくことによって自分たちでしか作れない世界を作っていくことがすごく大事だと思っています。よく言っているのは、僕が今後社長に必ずしもなる必要はないし、それは確定していなくて、僕ができることがあればそっちをやると本気で思っていると。それをみんなにも求めてもいます。

大谷:ちょうど次の話と繋がるので、次のトピックに移りましょう。チーム体制やスタートアップの姿勢ってどういう考えのもと行っているんですか?

山下:みなさんこの話興味ありますか?(笑)僕がひとりで会社を立てて、その時点で仲間にしたい人は決まっていたので、それぞれの仕事を終えてジョインしてくるという形だったのですが。僕は、全体的な営業や全体の判断をする役割で、シェフは味を決める役割。それ以外には、田渕というものが、製造や海外のやりとりなど、実質Minimalを回していて。もうひとりオタクみたいな、人と目を合わせて話せないような(笑)経理がいて、数字をしっかりと見てくれるんです。だから、最初からコスト管理もできています。

僕は、自分の力を説明すると、コンクリートの壁があってそこに行きたいと思ったら穴を開けるのが得意なんですよ。開けた後に整備したりするのは、僕はできない。最初から僕じゃできないことを、相互補完しながらできることを意識して人選をしました。すごいのは、誰もチョコレートを食べたことないのに、やるって言ったことですね(笑)最初は機材なんてなかったですから。

大谷:やたら熱く語ってるから面白そうだぞってかんじだったんですかね(笑)



朝食やお土産に。生活シーンに溶け込むチョコレート

大谷:次に、With Chocolateの話に行きたいと思います。これから展開していくコンセプトがWith Chocolateだという話を聞いて、そこらへんをお聞きできればと思います。

山下:チョコレートは、一品で主役になることもあると思うのですが、僕らが作るチョコレートってある意味で荒々しいんです。そうすると、主役というよりは、名脇役になったらいいなと思っているんです。脇役ということは、当然主役がいますよね。例えば、僕らのフレーバーが、ワインと合わせたら最高においしいよねということだったり、高濃度のカカオはポリフェノールを含んでいるので、朝にコーヒーと合わせたら目が醒めるとか。みなさんの生活シーンのなかにチョコレートが入っていくということが可能性としてあると思っています。

あんまり言うと語弊があるのですが、いままでのチョコレートってお菓子か高級品というのがすごく多いという印象がありました。そうではなくて、人の嗜好によって場面を作っていくような嗜好品にしたいと思っています。それが、文化を作るということに繋がっていくと思っています。

もっと具体的に言うと、お土産を持っていくときに違うと思うんですよね。コンサル時代は銀座で働いていたので、松屋のデパ地下に行って、食べたことのないものを買って、つまらないものですが…と言って渡す経験がよくあって。それってせっかく呼んでくれている人に対してすごく申し訳ないと思っていたのですが、僕らのチョコレートだと、「ワインに合うので持ってきました」と言えるじゃないですか。あなたのためにこれを選びましたということが言えると思うんですよね。それが、With Cocolateなんじゃないかなと。みなさんの生活のなかにチョコレートのシーンが入っていくということが、最初からずっと僕らがやりたいことです。



大谷:お土産の話を聞いたときに確かにと納得感があったし、ワインって分からないと選びづらいですよね。Minimalが面白いと思うのは、パッケージのラベルで分かりやすくしていたということで、そこらへんの設計を詳しく聞かせていただけますか?

山下:僕は基本的にデザイナーではないのでディレクションをするのですが、そういうときってブランドはストーリーを作りなさいとよく言われます。でも、基本的に興味を持った人しかストーリーって聞かないんですよね。うちが作るときに大事にしているのは、これなんだろう?と思う興味を引くきっかけをデザインにどれだけ落とし込めるかということです。かっこいいかかっこ悪くないかと感じるかは、個人によると思うので、それよりも、きっかけをどれだけ入れ込めるかということが大事だと思います。

大谷:ワインのラベルから発想したんですね?

山下:ワインのラベルってお気に入りのものをお店に持っていったりするんじゃないですか?まあ、僕が読んでも全然分からないんですけどね(笑)ラベルを持っておいてもらうということを僕もやりたいなと話をしていました。ただ、ワインは主役なので、脇役のチョコレートとは少し違ってきます。

大谷:あとは、チョコレート版クックパッドをやりたいと言ってましたよね。

山下:そうですね。クックパッドがすごいのは、みなさんがレシピをあげるから無限にあるでしょ。僕らがやりたいことは、例えば、森枝さんがチョコレートを食べて、あるものとすごく合ったよということを投稿してもらうこと。みなさんにも一緒にやってもらえたら、いいと思います。お客さんがお店に来たときに、「これってどんなワインと合いますか?」と聞かれるんですよ。僕らもいろいろと試してはいるのですが、僕らだけではその組み合わせって知れているじゃないですか。この間、面白いお客さんがいて、合う組み合わせを教えてくれたのですが、それが蟹味噌だったんですよ(笑)可笑しいですよね。これは、僕らの発想からは出てこないものです。それをクックパッド的にみんなが投稿できるようになったら、みんなが関わることのできる文化になっていくと思います。

大谷:なるほど。最後に、これからのMinimalのお話についてお聞かせください。

山下:大分背伸びをしているのですが、6/1に銀座にお店がオープンします。小さい路面店なのですが、3丁目、松屋デパートの2本裏ですね。本当に文化へと発展させたいなというときに、地に足をつけて発信していくということがすごく大事だと思っていて、人が集まる銀座にオープンすることにしました。

ただ、食べログで「銀座 チョコレート」で調べてみたら2516件引っかかるんですよね(笑)頭がいい経営者が考えたら出す意味あるの?と言うと思うんです。なので、銀座にお店を出すことについて本気で議論したのですが、ある意味命をかけて始めた仕事には限界を決めちゃダメだし、勝負できるのであればしようと話をしました。銀座で物件を探すのってかなり難しいと思うのですが、僕らの場合はポンとすぐ見つかって。来年、再来年また見つかるかというと分からないし、いけるならいこうと出店しました。それに、最初は僕が一番反対していたのですが、メンバーの絶対いこうという熱意に押されましたね。

大谷:さらに未来の話を言うと……

山下:富ヶ谷に今お店があるのですが、物量に対して空間の大きさが追いつかなくなっていて、白金・高輪に工房を開いて拡張をしようとしています。今年1年は、Minimalの攻めの年ですね。

大谷:明後日(6/1)銀座店がオープンするのでぜひ足を運んでいただければと思います。トークはこれで終了です。ありがとうございました。



EVENT INFOMATION

THE OYATSU vol.5|引き算の思想から生まれるチョコレート

DATE= 2016 / 5 / 30(Mon)
TIME= 19:30 open / 20:00 – 22:00
PLACE= FabCafe(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F)
MORE INFO=
内容: OYATSUの実食 / トークショー / 懇親会
費用: 2,000円(ワンドリンク+OYATSU込み)
定員: 50名予定

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